不妊治療

どんな不妊治療をするの?

不妊治療は各カップル毎の原因やからだに合わせて、治療方針が立てられます。

排卵が順調でない方は 排卵障害が原因の方は、ホルモン治療や排卵誘発剤を用い排卵を促します。卵巣での排卵の様子は、超音波検査と尿中のLHホルモンの検出(排卵診断薬)で簡単にモニタすることができます。
卵管の通りが悪い方は 卵管通水検査にて、両側の卵管に異常を指摘された方は、腹腔鏡にて卵管の状態を確認するか、体外受精の治療をしていきます。卵管通水検査の正診率は低いことが知られており、腹腔鏡でなければ真の卵管評価はできません。当院では腹腔鏡検査を現在取り扱っておりませんので、腹腔鏡検査をご希望の方は他院への紹介となります。体外受精では、卵巣から卵子を採取し、受精卵を子宮に戻すため、卵管の通過性に異常がある方でも、妊娠が可能になります。
精子の遡上が悪い方は 卵管に十分な精子が遡上していないと考えられる場合は、人工授精を行います。
男性不妊の方は 精子の数や働きを高めるために、体へのストレスを避け、規則正しい生活をしましょう。漢方薬や血行促進剤などの薬物治療を行うこともあります。それでも効果の無い場合は、人工授精や体外受精・顕微授精を行います。
子宮内膜症・子宮筋腫の方は 腹腔鏡・子宮鏡の内視鏡を用い、子宮・卵巣・卵管を妊娠しやすい環境に戻す手術を行います。現在当院では腹腔鏡下手術は取り扱っておりませんので、ご希望の方は他院への紹介となります。卵巣卵管の癒着が強い場合は、体外受精による治療を行います。

ART: Assisted reproductive technology

近年の医療技術の進歩により、精子や卵子を培養したり凍結保存することが可能になりました。これらの技術の応用は、不妊治療の成績をも改善しました。

人工授精 (AIH:artificial insemination with husband's semen)

人工授精

人工授精(AIH)とは、精液または精子を直接子宮の奥深く(子宮腔内)に注入する方法です。この方法を行うことにより、より多くの精子が卵子の周囲に到達することができるようになります。当院では、提出していただいた精液を洗浄遠沈し、約1.0mlに濃縮した精子を子宮腔内に注入しています。

体外受精-胚移植 (IVF-ET)

体外受精-胚移植

体外受精胚移植術とは、卵子と精子を体外で受精させ、さらに培養を続け得られた胚(受精卵)を子宮腔内に移植する方法です。

体外受精-胚移植

体外受精のスケジュール

体外受精術は、ご夫婦ともに十分なご理解と同意が必要な手術治療です。ぜひ、説明会である「こうのとりクラス」に参加いただき、理解を深めて頂きたいと思います。同日、スケジュールのご案内の資料を配布しています。

顕微授精

顕微授精

体外受精を行っても、受精できないことが判明した場合(受精障害)は、顕微授精により直接精子を卵子内に注入します。これにより受精卵が得られると、妊娠の可能性が上昇します

IVFラボから

IVF ROOMの紹介

実体顕微鏡 採卵時に卵子を探したり、卵子を裸にするとき、卵子や受精卵を移動するときに使います。
倒立顕微鏡 受精の確認や受精卵の状態を確認するときに使います。また、顕微受精もこの顕微鏡で行います。
マイクロマニピュレーター 顕微受精の時に使います。左が卵子を固定するピペットで右が精子を捕まえ注入するピペットです。
インキュベーター 培養器です。卵子・精子・受精卵を培養します。中は清潔な状態になっており、
常に37.0℃ CO2:5% O2:5%の状態を保つようになっています。
凍結器・保存器 たくさん受精卵が得られた場合に凍結保存するための機械です。保存器内には液体窒素が満たされています。
クリーンベンチ 実体・倒立顕微鏡いろいろな作業を行うところです。表面は37.0℃になっています。実体・倒立顕微鏡が組み込まれています。

受精卵の凍結

体外受精・顕微授精で得られた受精卵(胚)が複数だった場合、多胎妊娠を避けるため、全ての胚を移植することはせず、余った胚は凍結し保存しておきます。凍結した胚は、一度目の胚移植で妊娠できなかった場合や、一度目で妊娠・出産に至り、二人目を希望するときに、再び溶かして胚移植することができます。半永久的に保存可能ですので、凍結後何年経過しても胚の質が変わることはありません。凍結した胚を移植するときは、ホルモン剤を用いて子宮内膜を肥厚させます。

全胚凍結:最近では、新鮮胚による治療よりも、全ての胚を一旦凍結し改めて胚移植する全胚凍結の方が治療成績が良いと言われています。当院では、全胚凍結をお勧めしています。

胚盤胞移植

通常の体外受精のスケジュールでは、採卵後2日目あるいは3日目の初期胚の段階で胚移植を行いますが、5日目の胚盤胞まで培養し移植することを胚盤胞移植といいます。胚盤胞移植のメリットは、胚盤胞まで育つ胚と育たない胚を選別し、より質のいいと思われる胚を選択することができるところにあります。一方デメリットは、全ての胚が胚盤胞まで育たなかった場合、胚移植がキャンセルとなってしまうところにあります。初期胚移植と胚盤胞移植のそれぞれにメリット・デメリットがありますので、詳しくはご相談ください。



不妊治療の料金(健康保険の対象とならないものは、自費料金となります。)

不妊検査治療の一部は自治体からの補助を受けることが出来ます。

診療内容 保険3割負担 説明 備考 保険対象外(税込)
人工授精 5,460円 精子分析・精液洗浄濃縮を含む 再診料は別途となります -
AMH検査 1,800円   排卵誘発を必要とする方 8,800円
採卵術 0個 9,600円   再診料・個室代は別途となります 55,000円
採卵術 1個 16,800円   再診料・個室代は別途となります 61,600円
採卵術 2-5個 20,400円   再診料・個室代は別途となります 74,800円
採卵術 6-9個 26,100円   再診料・個室代は別途となります 95,700円
採卵術 10個以上 31,200円   再診料・個室代は別途となります 114,400円
体外受精(媒精) 12,600円 卵を得て精子と合わせた場合   66,000円
顕微授精 1個 14,400円 卵子に精子を注入した場合   88,000円
顕微授精 2-5個 20,400円 卵子に精子を注入した場合   99,000円
顕微授精 6-9個 30,000円 卵子に精子を注入した場合   121,000円
顕微授精 10個以上 38,400円 卵子に精子を注入した場合   121,000円
初期胚培養 1個 13,500円 初期胚まで培養した場合   49,500円
初期胚培養 2-5個 18,000円 初期胚まで培養した場合   66,000円
初期胚培養 6-9個 25,200円 初期胚まで培養した場合   92,400円
初期胚培養 10個以上 31,500円 初期胚まで培養した場合   92,400円
胚盤胞培養1個 18,000円 胚盤胞まで培養した場合   66,000円
胚盤胞培養2-5個 24,000円 胚盤胞まで培養した場合   88,000円
胚盤胞培養6-9個 32,700円 胚盤胞まで培養した場合   119,900円
胚盤胞培養10個以上 40,500円 胚盤胞まで培養した場合   119,900円
胚凍結保存 1個 15,000円     55,000円
胚凍結保存 2-5個 21,000円     77,000円
胚凍結保存 6-9個 30,600円     112,200円
胚凍結保存 10個以上 39,000円     112,200円
1年後保存更新料 10,500円     11,000 (6か月分)円
新鮮胚移植 25,500円 再診料・薬剤代は別途となります アシステッドハッチング代込 93,500円
凍結胚融解移植 39,000円 再診料・薬剤代は別途となります アシステッドハッチング代込 132,000円
精子凍結保存料 - 初回6か月分保存料を含む
精子分析・精液洗浄濃縮を含む
更新 自費6か月毎11,000円 24,640円

胚培養士から

採血して検査をしたり、人工授精・体外受精・顕微授精といった不妊治療の業務を担当しています。

検査に関する質問や、不妊治療で聞きたいことなどがあれば、私ども検査技師にお気軽にご相談ください。
(検査技師(胚培養士) 金田、長谷山、清野)